
法的に有効なクラウド型電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン(GMOサイン)」は、民間だけでなく公共領域にも導入が進んでおり、全国1,788自治体(都道府県含む)のうち約2割が電子契約を導入し、そのうち130自治体がGMOサインを導入している。今回は、なぜ自治体での導入が好調なのか。GMOサインの発起人である牛島直紀氏に話を伺った。
コロナ禍で加速、電子契約サービスの躍進
北海道室蘭市や神奈川県藤沢市、福島県いわき市……自治体がGMOサインを導入したという発表が相次いでおり、EnterpriseZineの読者も大きな関心を寄せている。
今回訊ねた牛島氏は、まさにGMOサインを立ち上げた人物。「当時は法務担当でしたが、当社の強みである電子認証局とのシナジーを生み出せる新規事業として、2015年に立ち上げました」と振り返る。
今でこそ“電子契約”といえば、多くの企業が導入していて当然という認識だが、そこに至るまでに潮目が変わる2つの出来事があった。1つは、2020年のコロナ禍だ。多くの民間企業がテレワークを導入すると、紙の契約書に押印するためだけに出社することが社会問題として見られるようになり、電子契約の導入が相次いだ。また、当時の規制改革担当大臣であった河野太郎氏の「ハンコをやめろ」という発言が霞が関に響き渡ると、行政府においても電子契約をはじめ、DX推進の機運が高まっていった。そして2024年10月現在、GMOサインだけでも月に約150万文書の署名依頼が行われており、約350万人が一度は電子署名を行ったことがあるほどだ。この潮流にいち早く反応したのはIT業界だったが、今では建設業や不動産業、人材業など、紙での契約業務が多い業界でも浸透してきた。
一方、自治体の“脱ハンコ”は、地方自治法第234条もあり一足飛びに進まなかったが、2021年1月に地方自治法施行規則が改正(第12条の4の2第2項の削除)されると、状況は一転。地方自治体は、電子署名法に基づく電子署名を用いて契約を締結できるようになった。これが、2つ目の要因だ。以降、電子契約サービスを展開する、多くのベンダーが自治体向けの提案に注力していくことになる。
「当初GMOサインでは、一定規模以上の自治体を中心にアプローチしていました。しかし、提案を続けていく中で、たとえば鹿児島県奄美市のような島しょ部の自治体が契約手続き、とりわけ島外の業者とのやり取りなどに大きな負担を感じていることもわかってきました。今では、自治体規模の大小に関わらず、電子契約を利用いただいています」(牛島氏、以下同)
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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